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マーケティングリサーチの行動観察調査

マーケティングの世界でエスノグラフィーはまだブームなのか、すでに終わったのかがよくわからない。
エスノグラフィーを「看板」にした調査会社が現れていないところから判断するとこの手法は儲けに結びつきずらいという判断で間違いないようである。

それだけでエスノグラフィーを名乗るのはおこがましい手法として「行動観察」がある。
この手法は質問紙調査、インタビュー調査と同じくらい昔からある手法だが、前2者ほど利用度が高くなく、従って「手法の体系化」もなされていない。

質問紙を作る、おしゃべりと違ってインタビューする、ということは誰でもできることではなく一定の訓練が必要だが観察は誰でもできる。
誰でもできるが、そこからある意味ある情報を引き出すのが難しいのである。
質問紙ができあがれば、インタビュースクリプトができれば、おおよそのアウトプットの構想は描けるが、「行動を観察しましょう」だけではアウトプットが全く想定できない。

最も質問紙調査やインタビュー調査では結論があいまいなときに「じゃ、実際の行動を観察してみよう」という場合が多いので、全くの手探りの行動観察という場面はほとんどない。

行動観察の基本は
・いつ、どこの、誰の行動を
・どのような状況・場面で
・何をしるために
・どんな手段・媒体で
観察するかを決めることである。

例えば、
・朝食仕度時の、その家のキッチンでの、主婦の行動を
・冷凍食品を使う場面で
・お弁当用の冷凍食品のコロッケの新製品開発のために
・天井2ケ所からのVTR録画・録音を再生することで
観察する。というようなことになる。

これを同一テーマの定量調査の対象者で、さらにグループインタビュー、1on1に協力してくれた主婦、数人に実施できれば、文字通りのシングルソースのデータが取れることになる。

ただ、こういった行動観察をやってみると行動観察データが「ノイズと無駄」の山であることに気づく。
使える部分が極めて少ないか、全くないということもある。

今日、小林朋道「ヒトはなぜ拍手をするのか」動物行動学から見た人間 を読んだ。
(この先生は「先生!カエルが脱皮してその皮を食べてます」などを書いている)
マーケティングの行動観察とは違うのは当たり前だが大きく違う点は動物(ヒトを含む)の行動を「進化論」の視点で観察し、分析・解釈していることである。
具体的な視点は
・子孫をたくさん残すという遺伝子のミッション、行動では優勢(優性)な配偶者を探す。
・ヒトの数百万年の99%は狩猟採集生活で、狩猟=オトコ、採集=オンナの分業は遺伝子に組み込まれている
という2点に集約できると思う。

マーケティングの行動観察ではこんな「鈍い」(大きすぎる)視点では有効なアウトプットは出せない。
ただ、このように視点(仮説)を「固定」して観察対象をたくさん集めるという方法は有効だと思う。

やってみたいが、カネと時間がかかりすぎる。
早く安い質問紙調査(ネットリサーチ)やグループインタビューで十分だとなってしまう。

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Author:aurak
名前   石井栄造 ・ 男性
仕事   マーケティングリサーチ
住まい  東京都杉並区
http://www.auraebisu.co.jp/

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